「AIが代わりに予約してくれる時代が来るらしい」
「うちのホームページも、何か準備しないといけないの?」
AIの話題が増えるなかで、こうした声を聞くようになりました。
そんな中で名前が出てくるようになったのが、WebMCP(ウェブ・エムシーピー)という新しい仕組みです。
この記事では、WebMCPが何なのか、今どこまで進んでいるのか、お店のサイトで今やっておけることは何かを、専門用語をできるだけ使わずに解説します。
AIは「読む」から「操作する」へ
これまでAIとホームページの関係といえば、AIがサイトを読んで、要約したり引用したりすることでした。
AIに正しく紹介してもらうための工夫は「AEO」と呼ばれ、AEOとSEOの違いやChatGPTに引用されるサイトの共通点の記事でご紹介しています。
そして今、その次の段階が見えてきています。
たとえばAIに「来週土曜の夕方、2人で予約して」と頼むと、AIがブラウザでお店のサイトを開き、予約フォームに入力してくれる。
このように人の代わりにサイトを操作するAIを、「AIエージェント」と呼びます。
ただ、今のAIエージェントは、画面を見てボタンの位置を推測しながら操作しています。
人間向けに作られた画面を手探りで使っているので、押す場所を間違えたり、時間がかかったりしやすいのが現状です。
WebMCPとは?ひと言でいうと「AI向けのメニュー表」
お店にたとえてみましょう。
人間のお客様は、店内を見まわして注文できます。でもAIには、「何ができて、何を伝えればいいか」を書いたメニュー表を渡したほうが、早くて確実です。
WebMCPは、ページがこのメニュー表をブラウザに登録しておく仕組みです。
たとえば「予約する:日付・時間・人数・名前が必要」「問い合わせる:名前・メール・内容が必要」といった形で、ページでできることを、名前と説明と入力項目つきでAIに伝えます。
今:AIが画面を見て推測しながら操作
人間向けの画面から、ボタンや入力欄の場所を探す。
WebMCP:ページが「できること一覧」をAIに渡す
何ができて、何を入力すればいいかが最初から分かる。
名前の「MCP」は、AIとさまざまな道具をつなぐための共通の決まりごと(Model Context Protocol)のことです。
MCPはふつうサーバー側で動きますが、WebMCPはその考え方を、お客様が開いているページの中で使えるようにしたものです。
今どこまで進んでいる?
結論から言うと、まだ実験の段階です。
- 仕様はまだ「ドラフト(下書き)」
W3C(Webの標準を話し合う団体)のコミュニティグループで作られている仕様書のドラフトで、正式な標準ではありません。中心になっているのはGoogleとMicrosoftの担当者です。 - Chromeで実験中
開発者向けの試験設定で試せるほか、Chrome 149からは申し込んだサイトだけが試せる期間限定の実験が始まっています(2026年6月9日の発表)。 - FirefoxとSafariは予定が公表されていない
対応するかどうか、いつ対応するかは、公表されていません。
つまり、普通のお客様のブラウザでは、まだ動いていません。
ホームページ側が今すぐ対応しないと困る、という段階ではありませんので、慌てなくて大丈夫です。
お店のサイトで、今やっておけること
WebMCPでは、普通のフォームに説明を書き足すだけで、AI向けのメニューにする書き方も提案されています(提案の解説)。
つまり、フォームがきちんと作られていれば、将来の対応は小さな追加で済むかもしれない、ということです。
今のうちに見直しておきたいのは、次の4つです。
- 予約・問い合わせのフォームを、ページの中に持つ
画像や外部サービスの埋め込みだけに頼らず、自分のサイトの中にフォームを置いておきます。外部の予約サービスを使っている場合は、そのサービス側の対応を待つ形になります。 - 入力欄ごとに、何を入れる欄かが分かる見出しを付ける
「お名前」「ご希望の日付」のように、欄の意味がひと目で分かるようにしておきます。 - 項目を必要なものだけに絞る
項目が少ないほど、人にもAIにも入力しやすくなります。 - 営業時間・メニュー・料金を、ページに文字で書いておく
画像だけにせず、文字でも載せておきます。
お気づきかもしれませんが、これは今の人間のお客様にとって使いやすいサイトの条件と同じです。
AIのために特別なことをするというより、使いやすいサイトを作っておくことが、そのまま準備になります。
AIに勝手に送信されない?安全面は
「AIが勝手に予約を入れてしまったら困る」と心配になる方もいると思います。
提案されているフォーム向けの仕組みでは、AIが行うのは入力まで。送信ボタンは人が内容を確認して押すのが基本です。
自動で送信まで行うのは、サイト側がはっきり許可した場合だけ、という形になっています。
また仕様書でも、AIに悪意のある指示を紛れこませる攻撃(プロンプトインジェクション)や、必要以上に情報を集めてしまうことへの対策が、課題として挙げられています。
だからこそ、急いで入れるより、仕様が固まるのを待ってよいと考えています。
Linplanでは、入力しやすいフォームづくりや、AI時代を見すえたサイト設計(AEO/GEO対応)を標準で行っています。
WebMCPも、仕様が固まりしだい対応します。今のフォームで大丈夫か気になる方は、お問い合わせからお気軽にどうぞ。
参考資料
- WebMCP 仕様書(ドラフト)(W3C Web Machine Learning コミュニティグループ・英語)
- フォームを使う書き方の解説(英語)
- Chromeでの実験開始のお知らせ(英語)
- ChromeのWebMCP解説(英語)
- ブラウザごとの対応状況のまとめ(英語)
※2026年9月30日時点の情報です。実験段階の技術のため、内容は今後変わる可能性があります。